The Brain Basis for Misophoniaの和訳

出典: https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0960982216315305

ハイライト

  • トリガー音はミソフォニアの前島で過剰な反応を誘発する
  • ミソフォニアでは、前島に異常な機能的結合が見られる
  • ミソフォニアでは、自律神経反応の高ぶりは前島によって鎮静化される
  • ミソフォニアは内受容の変化と関連がある

要点

ミソフォニアは、日常的な音に対して強い否定的な感情(怒りや不安)を抱くことを特徴とする感情的音処理障害だ。

日常的な音とは、他の人が食べたり、飲んだり、噛んだり、呼吸をしたりといったときに発せられるものだ。

これらの音(トリガー音)はどこでも聞こえるので、患者とその家族にとっては絶望的な障害となっているが、その根本的なメカニズムについては何もわかっていない。

機能的および構造的MRIを生理学的測定と組み合わせることにより、ミソフォニアの被験者が脳と身体でトリガー音へ特定の反応を示すことを証明する。

具体的には、fMRIにおいて、ミソフォニアの被験者では、内受容性信号の知覚と感情の処理にとって重要な「顕著性ネットワーク」のコアハブである前島皮質(AIC)で血中酵素レベル依存(BOLD)応答が、トリガー音によって過剰になっていた。

ミソフォニアのトリガー音は、腹内側前頭前野(vmPFC)、後内側皮質(PMC)、海馬、扁桃体を含む、感情の処理と調節に関わる領域のネットワークとAICとの間の異常な機能的接続と関連していた。

ミソフォニアの被験者は、トリガー音を聞くと、心拍数(HR)と皮膚電気反応(GSR)が上昇した。これらの反応はAICによって行われている。

アンケート分析では、ミソフォニアの被験者の彼らの身体的知覚は、普通の人のものとは異なっていた。彼らは、ミソフォニアでないグループよりも内受容においてより高いスコアを記録したが、これはAICの機能的異常と一致していた。

最後に、脳の構造測定は、ミソフォニアがvmPFC内でより大きな髄鞘を形成していることを暗示している。

総括すると 、我々の結果は、ミソフォニアは異常な顕著性がAICの異常な活性化と機能的結合に基づいた特定の音に起因する障害であることを示している。

結果と議論

20人のミソフォニアと、22人のミソフォニアでない、年齢と性別の一致したグループに3セットの音を聞かせ、fMRIデータを取得した。

1セット目の音はトリガー音(ミソフォニアが反応を示すもの、例えば咀嚼音や呼吸音)、2セット目の音は好ましくない音(両グループで不快だと知覚されるが、ミソフォニア的反応は示さないもの、例えば赤ちゃんの泣き声、大人の叫び声)、3セット目は中立的な音(雨の音など)とした。

それぞれの音を聞いたあとで、被験者たちは(1)その音がどれくらい不快だったか(両グループ)、(2)その音が典型的なミソフォニアの反応をどれくらい引き出しやすかったか(ミソフォニアグループのみ)またはどれくらい社会的に害(その音がしている場合その場所にどれくらいいたくないかという意味)だったか(ミソフォニアではないグループのみ)を評価した。

行動反応、皮膚電気反応(GSR)および心拍数(HR)は、fMRIデータの取得中に取得された。(図1Aがパラダイムの概略図)

脳全体の構造MRIデータが、髄鞘形成量、水、および鉄の量を測定するためのマルチパラメータマップ(MPM)として取得された。


図1. 実験パラダイムと被験者の採点結果

(A)fMRIパラダイム。音が15秒間流れる標準的なブロックデザインが使われている。各音が流れた後、被験者は (1)その音がどれくらい不快だったか(両グループ)、(2)その音が典型的なミソフォニアの反応をどれくらい引き出しやすかったか(ミソフォニアグループのみ)またはどれくらい害(その音がしている場合その場所にどれくらいいたくないかという意味)だったか(ミソフォニアではないグループのみ) を、ボタンを押して1から4のスケールで評価した。fMRIデータは3.12秒の繰り返し時間(TR)で継続的に取得された。GSRとHRもその実験中に計測された。

(B)被験者の採点は(i)ミソフォニアのグループによる3種類の音のミソフォニア的苦痛、(ii)非ミソフォニアグループによる音の社会的害(iii)、そして両グループによる不快度の3種類。ミソフォニアの被験者は、好ましくない音と中立的な音に比べて、トリガー音がよりミソフォニア的反応を引き起こしやすいと評価した(それぞれp値は0.001よりも小さい)。好ましくない音はミソフォニアの被験者も不快であると知覚したが(p値は0.001より小さい)、通常の不快感とミソフォニア的反応の解離を見せた。図S4の身体的知覚における被験者の点数参照。データは平均(±標準偏差)で示されている。


行動データ(図1B)によると、好ましくない音は不快ではあるがミソフォニア的反応を引き起こさない一方で、トリガー音はミソフォニアの被験者のミソフォニア的苦痛を引き起こすことがわかった。ミソフォニアのグループによるミソフォニア的苦痛の点数とミソフォニアでないグループによる好ましくない音の苦痛の点数に違いは見られなかった。しかしながら、2つのグループは音の評価の際に異なる主観的尺度を用いている可能性が高い。グループ(2カテゴリ)と音の種類(3カテゴリ)を因子として使用した線形モデル(GLM)をfMRIデータのランダム効果分析に適用することで、左右の前島皮質(AIC)での相互作用を実証した(図2A、より詳しい領域は表S1に記載されている)。
詳細を分析することで、トリガー音を聞くことで、ミソフォニアの被験者のAICではミソフォニアでないグループよりもより強い活性化によって相互作用が引き起こされていることがわかった(図2Bと図S1、S2参照)。好ましくない音と中立的な音とでは、ミソフォニアとミソフォニアでないグループとの間にこれといった違いは見られなかった。図2Cに示すように、左右のAICの活動はミソフォニアのグループによる主観的評価に比例していた。主観的感情におけるAICは怒りを含む感情と関連があることが数多くの実証によって示されている。機能的には、AICは顕著性ネットワーク(個人にとって行動的に関連があり意味がある刺激を検知したり注意を向けるための大規模脳内ネットワーク)における重要な器官であることが知られている。トリガー音を聞いたときにAICで過活性が起きていることは、ミソフォニアの被験者がこれらの音に対して異常に敏感であることを示す一助となっている。


図2. グループレベルの、fMRIデータを使用したランダム効果GLM

GLMはグループ(2カテゴリ)と音の種類(3カテゴリ)からなる要因によってモデリングされた。

(A)2つの要因(グループと音の種類)間の重要な相互作用について、統計的パラメーターマップ(SPMs)を標準的なMNI-152テンプレート脳を重ね合わせた。ファミリーワイズエラー率のp値しきい値は0.05、脳のサイズは補正してある。差は(左右の)AICで最大で、maximaではMNIの座標(-41, 6, 0)。

(B)AIC内のクラスターにわたって平均化された活動の確認プロット(図S1およびS2および表S1も参照)は、対照群と比較して、ミソフォニア被験者のトリガー音に対する活動が高いことによって相互作用効果が駆動されていることを示している。

(C)


AICがミソフォニアの参加者がトリガー音を区別する重要な領域であると特定したので、ネットワークレベルでミソフォニアに固有の変化があるかどうかを確立するために、その刺激に依存する接続構造を探索しようとした。

シード領域として左AICを使用して、2つのグループでその刺激に依存する接続を分析した。ミソフォニアの被験者のAICでは、腹内側前頭前皮質(vmPFC)、後内側皮質(PMC、つまり後帯状回と脳梁膨大後皮質)、海馬、および扁桃体を含む脳領域のネットワークでAICとのより大きな機能的接続が見られた(図3A)。この増強された機能的接続は、トリガー音にのみ見られ、好ましくない音では接続にこれといった差は見られなかった。重要なことに、同じ音に対する2つのグループの機能的接続パターンが量的に異なるだけでなく、質的にも異なる。

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